東京の猫を撮り始めたのは80年代後半だった。 バブル真っ只中のあの頃、至る所で住宅やアパートが 次々と解体されてはフェンスに囲まれた更地と化していた。 半壊になった無人の家屋に佇む彼らの切ない姿が今も目に浮かぶ。
あれから18年、休むことを知らない大都市は、 あたかもそれが宿命であるかのように日々変貌を続けている。 かつて彼らが住んでいた町の多くは様相が一変し、 居場所は確実に少なくなっている。 彼らは何処へ行くのだろう。
下町から繁華街、そして湾岸地帯へと、 猫の気配に導かれるままに東京を歩いた。
いつの時代も人間の営みに翻弄され続けてきた東京の猫は、 これまでもそうであったように、それでも我々の傍らに在る。
太田威重