02年、広い河川敷の藪の中を移動中にホームレスさんの住むテント小屋が3棟並んでいるのを発見。そこには気心の知れた Tさん、Yさん、Fさんが猫と暮らしていた。カラ(♂・5歳)・サクラ(♀・2歳)・シロ(♀・2歳)・チビ(♂・3ケ月)の4匹の面倒を主に見ていたのはYさんだった。カラはボス格の猫で、周辺から来るオス猫との縄張り争いに明け暮れ威勢のいい猫であったが、06年1月に急に食欲を無くし姿を消してしまった。サクラとシロは姉妹猫で2000年に河川敷に捨てられ、餓死寸前だったところを Fさん達に保護された。チビは活発でやや臆病なところのある猫だったが、04年8月に2歳で病死。

 かくして、2匹になったサクラとシロはYさんが溺愛し大切に可愛がっていた。そのうちに 最高齢のTさんの足腰の病が悪化し、生活保護の受給者となって河川敷を離れることになった。2匹の猫は高齢の Yさんと Fさんの2人に見守られ、穏やかな性格の猫に育ち、川原を行きかう人々に癒しを与えつつ平穏に暮らしていた。やがて、Yさんも内臓に疾患があり、やむなく2匹の猫を置いたまま介護施設に入所。(08年9月上旬)

 一人となった Fさんはどちらかというと、これまで自ら積極的に猫と触れ合うことはしなかった方。しかし、Fさんしか頼れない2匹の猫を見ているうちに感情が揺れ動いたのだろう。そのうちに我が子のようにかわいがる日々が続いたのだ。「2匹が生きているうちは多摩川を離れない。」と笑いながら言うのが口癖だった Fさんも持病の前立腺癌が悪化し、体力・気力に限界を感じるようになったのだ。これまでの思惑と違い、生活保護申請の手続きをした Fさんはアパート住まいをしながら多摩川に通って2匹の面倒を見続けることになった。そうして、しばらくの間は昼過ぎから夕方までは毎日サクラとシロといっしょに過ごしたものだった。 しかし、80歳を過ぎた Fさんにとって片道4kmの道のりを毎日自転車で多摩川に通うのは辛い事。アパートの大家に懇願して「一匹だけ」という条件を提示され、サクラを連れて来た。アパートでの暮らしはストレスを感じないのだろう。サクラも Fさんもすっかり太ってしまった。(2010年10月) 河川敷に残された一方のシロ(11歳)は Fさんからの依頼を受けた猫ボランティアの男性 Yさんのお蔭で今も健気に多摩川で生きる。

 
 



 
ドキュメンタリー映画

「犬と猫と人間と」

監督 飯田基晴 2009.2.22

 



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