ココとの出会いは02年11月頃のことでした。当時、私はハナタ(♂・10ヶ月位)という猫の取材を続けるために河口付近までよく通っていたものでした。ある日、水際を歩いていたハナタを見ていたとき、いつの間にかハナタの脇に寄り添っていたのがココでした。ココは20mほど離れた雑木林の中に住んでいた高齢の男性が面倒を見ている猫でした。人懐っこく、穏やかな性格のココは周辺に10数匹居たどの猫よりもハナタと相性が良かったのです。2匹は出会う度に川べりを散歩しては一休み・・を繰り返していました。また、近くに遺棄されていたプレイリードッグの「マンマン」とも仲むつまじく遊んでいたのが印象的でした。

 06年12月、ココの飼い主だった男性は著しく体調を崩し、救急車で病院に搬送されたまま2度と多摩川に帰って来ることはありませんでした。ココはそばに小屋を構えていた Fさんが引き続き面倒を見ることとなったのです。08年6月に仲の良かったハナタが身勝手な某動物愛護団体の主催者にさらわれてからはココの行動範囲が不思議にも極端に狭くなったのです。Fさんの小屋のそばから殆ど離れることはなくなったのが印象的でした。好天の日でもうっそうと雑木が茂る湿っぽい場所で物静かに生きるココ、Fさんや仲間のホームレスさんに見守られて厳しい環境の中で歳を重ねていく姿には独特の存在感がありました。10年9月、健気で何一つ不自由なく生きてきたココが突然姿を消した。Fさんはハナタの前例を引き合いに「また勝手に動物愛護団体の女が盗んで行ったんだ。」と言うが、その可能性も多分にあるのではないかと思う。





 
CREA CAT No,3

『不幸な猫を減らすためにできること』

 写真・文 小西 修
  文   梅津 有希子
(株)文藝春秋 2010.3.15
 



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つづく・・
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