多摩川河川敷の猫 Part-5

奥多摩の源流から羽田河口まで、全長約１４０kmに及ぶ多摩川。その河川敷の両岸に棲む猫達を１５年余り追い続けてきて、
想像以上に色々な猫達との出会いがあった。名前ついた猫もいれば、飼い主がいても名前のない猫もいる。
人なつっこい猫もいるが、多くは強い警戒心を持っているのでなかなか近づけない。厳しい環境の中で必死に生き抜いている猫達。
その凛とした姿には心を打たれるものがある。

アカ　(♂　10歳)　【川崎市・中原区】

アカは多摩川に棲む猫の中でも特に人なつっこい。
飼い主がよく焚き火をするので、アカの体はススで薄汚れている。とても穏やかな性格で、よく座って遠くをぼんやり見つめているその姿が愛しい。しかしある日、何者かによって壮絶な虐待を受け殺されてしまった。

(両目が健全だった頃)

初めて出会った時から左前足が切断されていたが原因はわからない。ここには他に7～8匹の猫がグループを作っているが、ミーヤは古株で気丈な性格。最近また近所のボス猫とケンカして左目に深い傷を負い失明してしまった。

ミーヤ　(♂　年齢不詳)　【東京都・府中市】

レオン　(♂　５歳)　【東京都・大田区】

(レオンの子供達)

この辺は幾つかの家族や単独の猫が一つの大きなグループを形成。レオンはそのグループのボス猫。パトロールする範囲は広いが立派にボスの務めを果たしている。

2003年Ｓｕｍｍｅｒ猫びよりNo.13

「多摩川の猫」が『猫びより・2003年夏号』に掲載されています。
広いエリアから5ヶ所を厳選。32点の作品で構成されています。

多摩川の猫達の多くは捨てられたかわいそうな猫です。一見、健康で幸せそうに見える猫もいますが、現実は想像以上に厳しい生活を強いられている猫が殆どです。
どうか猫を飼う人は最後まで『命』を見捨てないよう願っています。

小　西　　修